所沢農人に足繁く通ってくれる、スーパー中学生を紹介したいと思います。

所沢農人に足繁く通ってくれる、スーパー中学生を紹介したいと思います。

農家と言うと野菜を作っているというイメージが強いのではないかと思いますが、それは一面では正しいと思います。
しかし、それ以外のことにも色々とやっている農家は多く、事業として多角的に経営(飲食、サービス、販売など・・)しているのはその一つだと思います。

今回の投稿記事は、生産農家としてやっている私の所に訪れてくれた所沢市の中学生である岡さん(4月より高校生)とのやり取りを紹介したいと思います。

岡さんは昨年12月に学校の授業の一環で私の所を訪れてくれました。
当日は2時間ほどで畑で簡単な作業とその後ヒアリングを受けました。
その後、授業の報告を含め3月に再度来園してくれ、現在まで週二回程度農人で農作業を手伝ってくれています。
農人には、色々な人が訪れてくれますが、岡さんほど足しげく集中して通ってくれる方はまれで、私としては、今回の経験や知見など色々と聞きたく、文面で質問を投げかけてみました。
2部構成となっておりますが、後半は私個人のFBにて公開しておりますので、そちらをご覧ください。
今回は前章です。

基本的には原文をそのまま掲載していますが、ほんの一部書き換えをしております(写真についても本人の許諾をもらっています)。
以下、岡さんの回答です。

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①総合学習でなぜ、所沢農人を訪れたのですか。

「所沢の名所や食べ物等、所沢のためにどのような働きをしているのか」を調べる総合学習で、私は正直最初は農家や観光農園に行って、何か食べたい!と軽い気持ちでした笑。
元々近所のスーパーの地産地消のコーナーを見て、所沢の野菜が有名なのは知っていたのですが(三富の野菜がブランド品であることなど)。
ただ、当時は野菜を買うときに「高いな…」って思うことが多々ありまして、その野菜に対しての何割が種や肥料等の原価で、何割が輸送費で、何割が利益になっているのかを知りたいとずっと思っていて、所沢農人が所沢の産業にどのように関わって貢献しているのか、農家さんの1年間・1日の農作業の計画の立て方や動き、野菜の原価計算について聞きたくて、総合学習が良いきっかけとなり伺いました。
農家を選ぶとき、自分で調べて先生に報告しないといけなくて、農家を選んだのが私1人だったので、いってみれば選び放題でしたが…。
総合の時間で事業所に電話する時間があって、電話番号が分かる農家さんじゃないといけず、中々農家さんはホームページにメールアドレスが載ってあっても電話番号が載っていない所が多く苦労しました。
候補を農人含め2.3件決めておいて、最初に連絡させて頂きました。
所沢市内の農家で、電話番号が分かって、もし出来れば有機栽培の多品目の所で…、と色々考えた結果、ホームページを見て調べたときに所沢農人が1番お話聞くのに有意義だと思いまして、伺いました。
「気難しい方でなければ良いけど…。」と不安でしたが、総合の訪問だけでなく今こうしてお世話になっているので、本当に有り難く思っています。

②一度ではなく、二度三度と通い作業をすることで発見、気付きはありますか。

私は元々野菜はおろか、普段口にする食材がどのように作られているのかをほとんど知らなくて、所沢農人を訪れる度に勉強になっているので、毎回新鮮な気持ちです。
まず、化学肥料を使う一般的な農家さんは全体の約99%だそうですが、有機栽培と比べて、作り方や過程に大きく違いがあることを知りました。
特に有機栽培の場合は自然の力全てを利用するので、簡単に野菜は作れないし、手間もかかります。
例えば一発勝負の野菜(長ネギなど)には常に目を光らせ、生長度合いを観察しながら、定植や追肥などをいつするか等考える必要がありますし、「美味しい野菜を作りたい!」という強い気持ちと知識がなければ、きっと続かないのだと思いました。
「野菜は高いし、台風や災害時にはより高くなる。」
と先入観がありましたが、1つの野菜を育てるのは何ヶ月もかかる長期戦ですし、体験の中で結構しんどい作業もあったので、「野菜って高くないんだな」って身を持って分かったし、農家の方々の努力が間近で感じることが出来て、これからはしっかり感謝しながら美味しく野菜を食べようと思いました。

③今回の経験を通し農業や農家に対して励まし(エール)をかけるならどんな声ですか。

いま新型コロナウイルスの影響で、色々な所に被害・影響が広がっていて、自営業を中心に、サービス業や飲食業などなど、もっとあると思いますが、仕事がしたくても出来ず、稼げない・稼ぐ場所がないと、困っている方々がきっと大勢いらっしゃると思います。
ですが、物流や配達の需要は変わらず高く、特に食品に関してはどんな状況になっても必要とされるものであることは確かです。
野菜農家であれば、野菜を中心とした生活になり、休みが不規則な方や、天気によっては愛情かけて育てた野菜が育たなかったりと、普通のスーツ着て働いている人とはまた違った苦労をされていると思います。
物流が不安定になりつつある今、食品を変わらず仕入れて下さる方々には感謝しかありません。
例えば、野菜がスーパーに並ぶまで、野菜を育てる農家さん、検品をする人、スーパーまで運ぶ人、スーパーで売る人、1つの野菜が作って売られるまで、たくさんの人が関わりますが、野菜を作る農家さんがいないことには全て始まりません。
日本ないしは世界の人の命を支えているのは、食を作って下さる方々のお陰です。
農業をしようと思う人が少なくなっているのは事実ですが、野菜の美味しさを伝えながら、頑張って頂きたいです!

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上記①②③の質問の意図など感想について、簡単に記載します。

>①総合学習でなぜ、所沢農人を訪れたのですか。

純粋な疑問で、「突然私の所に電話がかかってきたので、なんで私の所に?」と言う事を思っていました。
直接お会いし、色々と話しを聞いてく行く中で、しっかりプロセスを踏んで至っていることが分かり、驚きがありました。
経験的に、頭で考えていることを行動に移すことってとても大変で、それも複雑なことならなおさらで、それでも一歩踏み出してこうやって交流できていることに、大変感謝しています。

>②一度ではなく、二度三度と通い作業をすることで発見、気付きはありますか。

瞬間ではなく継続することで見えてくるものって多いと思います。
特に、農業では、一つ一つの野菜の生長、畑の景色、季節の移り変わり、そして作業内容や人間関係など。
(決して試しているわけではなく、)どういったものやことが印象深く映るのか、興味がありました。
私の場合、就農するまでの1年間の研修の中で、「野菜を作り続けることは野菜を知ることがスタート」と言う事を継続を持って知ることができました。
それは、あくまでも自身が研修しその後独立するという事であったためだと思うのですが、それでも野菜のことを知る一番の気づきでありました。

>③今回の経験を通し農業や農家に対して励まし(エール)をかけるならどんな声ですか。

特に私のように、新規就農者は想い(気持ち)はあっても中々農家としていっちょ前にプロとしてやっていくのは大変だと思っています。
そういった苦労がどのように映っているかと言う評価をもらいたかったことが一つあります。
また、産業としての農業は、残念ながら他の産業と比較して今の日本において継続性のある姿が築けていない感じている中、農業やそれに携わる農家に対してどういった声がかけられるのか、聞いてみたかったための質問でした。
自分の考えていることがどのように伝わっているか、聞いてみたかったという興味本位からの質問です。

<勝手な、総括。。>
岡さんは、野球で全国優勝を狙うアスリートですが、身体をつくる栄養である野菜はなんと、苦手(嫌い)。。でした。
しかし、一緒に身体を動かし、頭を使い「なぜ、どうやって」を考えるプロセス(体験)をすることで、野菜に興味を持ち愛着を持ち始めました。(当人もそう言っています)。
なんだかんだ言っても、最後の決め手は、野菜を食べて「美味しい」と感じてくれることだと思います。
野菜を好きになってくれ、たくさん食べてくれてありがたかったです。